12月 22, 2019

神の子イエス・キリスト

 「神の子イエス・キリストの福音の初め」。マルコによる福音書はこう宣言して書き始められます。研究者によれば、冒頭の「神の子」という表現は原典にはなかったといわれていますが、わたしたちが聖書を読むとき、そんな詮索は必要ないでしょう。聖書の原典は神によって選ばれた聖書記者が聖霊に満たされて書いた、まさに神の御言葉だからです。

「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる」、イエス様の誕生を予言する天使は、母マリアにこう告げます。イエス様は誕生する前から「神の子」であり、それこそがイエス様の呼び名でもあったのです。

また、神はイエス様を「私の子」と呼ばれました。イエス様がバプテスマを受けられた直後、聖霊が降り「あなたはわたしの愛する子」という声が聞こえたと、福音書には記されています。

しかし、わたしたちはイエス様が御自分のことを指して、「人の子」と呼んでいたことも知っています。旧約聖書を見ると、ダニエル書に神からすべての権威、権能、威光を与えられた「人の子」のような者が登場します。イエス様は黙示文学的メシヤの称号である「人の子」を用いてご自分のことを表されたのかもしれません。

「すべてのことは、父からわたしに任せられています。父のほかに子を知る者はなく、子と、子が示そうと思う者のほかには、父を知る者はいません」、マタイによる福音書に記されたイエス様の言葉です。イエス様は御自身の口を通して、はっきりと「私は神の子だ」と宣言されているのだといえるでしょう。

では、イエス様と行動を共にしていた弟子たちは、自分たちの師をどう見ていたのでしょうか。単なる預言者、霊能者としてみていたのでしょうか。そうではありませんでした。
使徒ペテロはマタイによる福音書15章で「あなたこそ、生ける神の子キリストです」と告白しています。そのとき、イエス様はこう答えられました。「シモン・バルヨナ、あなたは幸いだ。あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ」。

天の父、主なる神がイエス様を「神の子」だとはっきり示した。イエス様はそう言われます。聖書によってはっきりと示された「神の子イエス・キリスト」こそ、わたしたちの救い主に他ならないのです。