12月 17, 2019

「神」の呼び名

わたしたちはお祈りのときなど、ごく普通に「神」という言葉を使います。ここで言う「神」とは、キリスト教の「神」だということは言わずもがなでしょう。でも、「神」という呼び名は、日本語に翻訳された名にすぎません。日本にも昔から信仰の対象としての「神」という呼び名がありました。キリスト教の宣教師たちが聖書を翻訳するとき、聖書の神の呼び名を日本語の「神」に置き換えてしまったのです。では、聖書では、「神」はどのように呼ばれているのでしょうか。

  旧約聖書の一番初めに、ということはわたしたちの聖書の巻頭に置かれた「創世記」を見てください。「初めに、神は天地を創造された」と書かれていますね。ここで使われているヘブライ語は אֱלֹהִים('elohiymエロヒーム) 。実はこれ、複数形なんですね。直訳すれば「神々」。おかしいやろ、わたしたちの神は一人やろ。その通りで、これは「神」を強調するための修辞法だそうです。

同じ言葉をギリシア語に訳すと、θεὸς(theos・セオス[英語の発音で読んで下さいね]) となります。もちろん日本語訳は「神」。ヘブライ聖書をギリシア語に訳したものは「セプツァギンタ(70人訳)」と言われています。

では、4章を見てください。6節「主はカインに言われた」と書かれていますね。この「主」もまた、神の呼び名なのです。ヘブライ語では יהוה(Yĕhovah エホバあるいはヤハウェ)。こちらは、普通「主」と訳されています。もちろん、単数です。こちらのギリシア語訳はκύριος ὁ θεος (kyurios ho thos ・キュリオス ホ セオス) 。このκύριος が日本語では「主」、英語では the LORD と訳されています。こちらのギリシア語は、日本語では「主人」「主君」などと訳されることがあります。

普通に「神」という言葉一つ取ってみても、いろいろなニュアンスで語られていることがよく分かりますね。ちなみにイエス様ご自身が使われている神の呼び名は「父」です。マルコ14章36節で「アッバ、父よ」と呼びかけられていることからもイエス様と神との関係がよく分かります。「アッバ」とは、アラム語で「お父ちゃん」というほどの意味です。

わたしたちの罪の贖い(生贄)としてこの世に生まれたイエス様は、まさしく「神の子」だったのです。ハレルヤ!